【黒部源流域周回の山旅(Vol.5・終)】雲ノ平で “雲上の楽園” 感を味わい、周回路を歩き切ってから下山へ

登山

黒部源流域周回の山旅もいよいよ終盤です。周回旅最終回の今回は、雲ノ平山荘に到着してのんびりとした時間を過ごした翌日、周回路を歩き切って折立まで下山するまでのご案内です。

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登山コースの案内(前回までの続き)

雲ノ平で楽園気分を満喫

黒部五郎小舎から三俣山荘、鷲羽岳を経て雲ノ平にたどり着き、広い台地の中に立つ雲ノ平山荘に到着。宿泊の受付をしてからは、あたりの様子をのんびりと眺めることにします。

草原状の台地には火山岩や池塘が点在し、見る目を楽しませてくれると同時に、心も穏やかにしてくれます。あたりの風景はご覧のとおりです。

点在する池塘
草原と火山岩とのコントラスト
雲ノ平の背後に薬師岳が迫る

ただ山荘には多くの人が訪れていて、景色を楽しんでいる間にも、続々と増えています。

雲ノ平山荘での宿泊

夕飯までの間の時間に、小屋内の談話スペースで一冊の本を手にしました。

以前の記事でもご紹介した『黒部の山賊 アルプスの怪』という本です。ここ雲ノ平山荘や三俣山荘の小屋主の父親に当たる伊藤正一氏によるもので、黒部源流域の開拓期からの歴史が実体験をもとに描かれています。なかなかにして読み応えのある内容ですので、ぜひご一読ください。
※『黒部の山賊 アルプスの怪』については、以下の記事の中で紹介しています。

山荘名物の石狩鍋の夕飯後は、スライド上映がなされていたようですが、人が多いのでパス。

さて、予想通り小屋内はかなりの人で膨れ上がっていて、寝るスペースは畳一畳に2人という悲惨な状況です。とても寝られるような状況ではありません。
こんな状況でも気にせず寝られる人は本当にうらやましいと思います。

夜中にトイレに起きて部屋を出ると、ベンチで寝ている人がいます。よっぽどこちらのほうが寝られると思いました。
結局、一睡もできないま一晩を過ごしましたが、こんな状況は懲り懲りですね。

コロナ禍の現在では、宿泊者の人数を絞っているようなので、このような悲惨な状況はないと思いますが…。設備も新しくきれいなので、快適な宿泊状況のもとでもう一度行ってみたいものです。

薬師沢にて休憩

最終日は、雲ノ平山荘を出発して、周回路のスタート地点の太郎平小屋に戻り、折立まで下山する行程です。

山荘を出発してしばらくは雲ノ平の中の穏やかな木道が続きます。ですが、展望の良いアラスカ庭園を過ぎると、樹林帯の中を下る急坂となります。途中から大きい石を踏み下りる区間が続き、昨晩寝ていないこともありかなり応えます。

このルートを逆に登るとなるとかなりきついだろうなと思いますが、昨日雲ノ平山荘で、この坂を登って雲ノ平にたどり着いた高齢の女性が、感想として「もう死ぬかと思うくらい大変だった」と話されていたのを思い出しました。

やっとのことで坂を下りきると、黒部川の流れる薬師沢に着きました。

黒部川の流れ
薬師沢に下り立つ

橋を渡って薬師沢小屋で休憩です。冷たいドリンクで心身ともにリフレッシュ。

橋を渡ると薬師沢小屋
黒部の清流

ついに周回路の踏破へ

ここからは、徐々に登り返して太郎平小屋を目指します。

登山道には木道が設けられていて歩きやすい道が続きます。
先の「黒部の山賊」の中でも逸話で紹介されている「カベッケが原」を通過しますが、確かに薄暗くなるとカッパやバケモノが出そうな雰囲気ですね、

木道をどんどん進み、何カ所かある徒渉点を超えると、最後の急登が待っています。この4日間の歩きで疲れが蓄積されているうえに、照り付ける太陽の暑さも手伝って足が重いですね。

ようやく坂道を登り切ると、草原の中を緩やかな木道が延びています。

草原の中の登山道

やがて、視線の先に2日前に出発した太郎平小屋が見えてきました。

太郎平小屋を発見

そして、ついに黒部源流域周回コースを歩き切って、太郎平小屋に到着です。

太郎平小屋で休憩

太郎平小屋で、昼食のカレーライスを注文して、しばし休憩。
黒部源流域の周回路を踏破した充実感を同行のS君と分かち合いました。

小屋前で源流域の山々に別れを告げ、行きに通った道を下って折立へ。

時間的にはそのまま東京に戻ることもできたのですが、その日は富山のホテルに泊まり、富山勤務経験もあるS君紹介の居酒屋で、地元のうまい肴とともに、この4日間の山旅の思い出に花を咲かせながら、楽しい夜を過ごしました。


これまで5回に亘ってお届けしてきた黒部源流域周回の山旅ですが、奥深い山域だけに周回するには3泊は必要となります。しかし、それだけにどっぷりと山に浸かることができます。
黒部五郎岳、三俣蓮華岳、鷲羽岳などまわりを取り囲む山々を巡ると、その美しさに感動しますし、雲ノ平では 雲上の楽園気分を体感できます。
こんな魅力あふれる “日本最後の秘境 “ の山旅に出かけてみてはいかがですか?
きっと生涯思い出に残る山旅となることでしょう。

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登山ルートと所要時間

【1日目】折立登山口…三角点…五光岩…太郎平小屋(約3時間50分)
【2日目】太郎平小屋…北ノ俣岳…黒部五郎岳…黒部五郎小舎(約7時間)
【3日目】黒部五郎小舎…三俣山荘…鷲羽岳…祖父岳…雲ノ平山荘(約8時間30分)
【4日目】雲ノ平山荘…薬師沢…太郎平小屋…折立登山口(約8時間)

※上記時間には休憩時間は含まれていません。

【黒部源流域の山旅(完)】

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