【ヤマビル対策】《必読!》遭遇しないための方策と予防・対処法

登山

みなさん、「ヤマビル」をご存じですか?
森の中に生息し、梅雨時のジメジメした季節になると登山者に取り付いて吸血するというやっかいな生物です。

山の中で遭遇しないことが望ましいですが、遭遇しないための方策や、出くわした時の対処法などについて考察してみました。

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ヤマビルについて

ヤマビルは、ヒル科の陸生生物で、山野で人間をはじめシカやイノシシなどの哺乳類に取り付いて吸血します。体長は3~4㎝程度ですが、移動の際には尺取り虫のように体を伸び縮みさせて動きます。
背中に3本の黒いスジがあるのが特徴です。

人間や動物の歩く振動や、吐く二酸化炭素を敏感に嗅ぎ取り獲物が通過するのを待ち伏せします。
登山道を歩いている時、靴が地面や岩の上に置かれた瞬間に飛びつくように取り付くようです。

出典:写真AC

よく言われる話として、何人かのグループで一列になって登山道を進んだ場合、ヤマビルは先頭の人によって獲物を察知し、タイムラグがあってか2番目以降の人に取り付きやすいとのこと。

ヤマビルに吸血されると、ヒルジンという抗血液凝固成分の影響で出血が止まらないことに加えて、そのヒルジンに麻酔作用もあることによって痛みも感じにくいので、吸血されたことに気づかず、下山後に大量の血が流れているのを見て初めて気づくこともあるようです。

昨今、ヤマビルの生息域が拡大しているようですが、これはシカの増加が主な原因と言われています。ヤマビルはシカの蹄の中に取り付くことにより、シカとともに行動範囲を広げているからです。

なお、ヤマビルの生息域は標高800mくらいまでと言われているので、それより標高の高い場所ではまず出会うことはないとされていましたが、最近ではその通説も危うくなっているかもしれません。
ただ、登山口から標高800mあたりまでが一番の “危険地帯” といえることには間違いありません。

幸い私はまだヤマビルに吸血されたことはありませんが、このような気持ちの悪い生物に吸血されないよう、予防法を知っておきましょう。

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吸血されないための予防法

山行の時期と地域に注意

ヤマビルに出くわさないためには、山に行く時期と地域を選ぶことが一番重要です。

ヤマビルはとにかく「湿潤」を好むので、梅雨時が一番危険です。
梅雨時に限らず、雨の降った日の翌日などまだ登山道が乾いておらず湿っている場合も要注意ですね。

ヤマビルの好発地域として有名なのが関東では「丹沢山地」です。梅雨時の丹沢に行けば、ヤマビルに遭遇する確率はかなり高いでしょう。丹沢の中でも、特に東丹沢の宮ケ瀬湖あたりに「うじょうじょ」いるという報告もあります。

それぞれの方の意見もありますが、私の場合は、5月のゴールデンウィーク明けから10月末くらいまでは丹沢地区には行かないことにしています。
ヤマビルが出やすいとされる時期や地域に敢えて行く必要はありませんし、経験のために「一度見てみたい」とも思いませんからね。

このように、登山に行く時期と地域を選定するだけで、ヤマビルに出くわすことはほとんどないでしょう。安直ですが、これが最大の予防策といえます。

肌の露出をなくす

ヤマビルが出る可能性がある時期や場所に行くことになった場合、肌の露出を抑えることが必要です。

半袖は避け、長袖・長ズボンは必須ですし、タイツの着用はかなり効果的です。
靴から足によじ登ってきたヤマビルも、タイツがあると吸血ができず、あきらめる可能性が高くなると考えられます。

当然ですが、タイツもはかずに半ズボンだけで歩くのは「吸血してください」と言っているようなものですから絶対に避けてください。。

歩く場所や休憩時の注意

次に、歩く場所に注意しましょう。

ヤマビルは、登山道の両端の草むらや落ち葉の下、岩陰に潜んでいるといわれますので、なるべく道の真ん中を歩くほうが取り付かれる確率が低くなります。

また、歩く速さが遅いとどうしても取り付かれる可能性があがってしまいます。危険地帯はなるべく一気に通過したほうが良いでしょう。

それから、休憩する場合に注意することは、ザックを地面に置かないことです。
人間の体温や汗が残ったザックは標的になりやすく、休憩後にザックから体に移って吸血されることもありますからね。

登山時に使用する忌避剤

ヤマビルに取り付かれないようにするために、塩水に浸したタオルを首に巻くとか、登山靴の周りに塩を刷り込むなどの方法もありますが、塩水は体がべとべとしますし、塩によって登山靴が劣化したりするので、あまりお薦めできません。

やはり使い勝手の良さからいえば、ヤマビル用の忌避剤が有用といえるでしょう。
市販されている忌避剤として有名なのが「ヤマビルファイター」「ヒル下がりのジョニー」です。
両者とも忌避剤の成分は違うものの、同じような効果を発揮してくれます。
(「ヤマビルファイター」はディートが主成分ですが、「ヒル下がりのジョニー」はディート不使用です。)

「ヤマビルファイター」(現在はパッケージデザイン変更)

使い方は、登山道の始まる登山口で両足の登山靴にスプレー状の薬剤を吹きかけるだけです。ただし、その効果の持続時間は限られているので、およそ1時間ごとにスプレーし直すことをおススメします。

私は「ヤマビルファイター」を買って使用していましたが、同行者に借りて使った「ヒル下がりのジョニー」もスプレーしやすく、使い勝手も良かったです。


ちなみに、2018年のゴールデンウィーク中の雨の日に丹沢の鍋割山に行ったときは、ヤマビルの危険性を認識しつつ、登山中に「ヤマビルファイター」を30分ごとにスプレーしながら歩きましたが、同行者3名も含め、幸いにもヤマビルに取り付かれることはありませんでした。
鍋割山荘に着いて、小屋のご主人に伺ったところ、『もう今の時期で雨が降っていれば、ヤマビルはそこら中にいるよ』と言われ、遭遇しなかったことにホッと胸をなでおろした記憶があります。

吸血された場合の対処法

吸血中のヤマビルを取り除く

足などにヤマビルが吸血していた場合、慌てずに対処することが必要です。自分の靴や肌にヤマビルがいると、びっくりするのと気持ち悪いのとで、無理に引き離そうとしがちですが、そうするとヒルの歯が傷口に残ってしまう可能性があります。

一番良いのは、アルコールをかけるか、塩を振りかける、あるいは塩水をかけることとされ、それによってヤマビルは自然に離れます。タバコの火を近づけるという方法もありますが、やはり山で火を使うのは避けたほうがよいでしょう。

取り除いたヤマビルの処置

ヤマビルは、その体の柔軟性から、踏んづけたくらいでは死にません。

塩を振りかけて落ちたヤマビルは仮死状態ともいえるので、さらに塩をかけて浸透圧によってしぼませて完全に殺すことが肝要です。

仮死状態のまま放置するとまた生き返り、後続の人を襲ったり、靴に着いて下山後の集落まで意図せず運んでしまうことにもなりかねないからです。

吸血された傷口の処置

吸血された後はしばらくは血が止まらず、2~3時間は少しずつ出血が続くようです。
傷口からの寄生虫や細菌の感染などは心配ないようですが、なるべく早く治すためにも適切な処置を行ってください。

傷口の処置としては、できればポイズンリムーバーなどによってヒルジンを吸引・排出し、消毒をしてから絆創膏によって傷口を抑えることや、出血が収まったら必要に応じてヒスタミン軟膏を塗るなどしてください。

最後に・・・

以上のとおり、ヤマビルに吸血されると血がなかなか止まりづらいという難点がありますが、感染症などの重大な事態に至る可能性は低いと思われます。

しかしながら、見た目にも気持ちの良くないヤマビルに吸血されないに越したことはありません。

そのためには、今回ご紹介した予防法を押さえておいて、遭遇しないための方策を講じておくと同時に、吸血された場合の対処法を覚えておくことによって、必要以上に恐れることなく “憎き” ヤマビルに向かい合うことができると思います。

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