“日本最後の秘境” “雲上の楽園”と称される雲ノ平。北アルプスの中でも、槍・穂の険しさとは趣を異にし、2,500m級の台地と、それを取り囲む山々。北アルプスの中でも、一番奥深い場所にあるだけに、簡単には足を運べませんが、山にどっぷりと浸るには絶好の場所といえるでしょう。
今回は、そんな魅力あふれる黒部源流域の周回路を、山小屋に3泊、下山してさらに富山に後泊する4泊5日の日程で訪れた山旅の紹介です。
【my山行日:2018年7月31日~8月4日(4泊5日)】職場の後輩のS君と二人で
黒部源流域について
“日本最後の秘境”と言われる雲ノ平を擁する黒部源流域は、鷲羽岳、黒部五郎岳などの山々に囲まれた場所で、北アルプスの最深部に位置することから、周回するにも、その距離の長さも含めると3泊の旅程が必要となります。
それだけに、手つかずの自然が残されていることや、高山植物の宝庫でもあり、一度は訪れてみたい衝動に駆られます。
今回の山旅は、折立を出発して初日は太郎平小屋に宿泊、続いて2日目は黒部五郎岳を経由して黒部五郎小舎に宿泊、3日目は三俣山荘、鷲羽岳を経て雲ノ平山荘に宿泊、そして4日目は雲ノ平から薬師沢に下り太郎平小屋に戻って周回路を1周したのち折立に下山するコースです。
登山コースの紹介
折立登山口に向かう
今回の山行は、職場の後輩S君との二人旅です。S君の車で、登山口のある折立に向かいます。関越道の練馬ICから高速道路を乗り継いで富山県を目指します。
とにかく距離が長い。関越道から上信越道を経て日本海へ、さらに北陸道を西に進みます。
途中の有磯海SAで富山名物の「ブラックラーメン」を食したのち、ようやく登山口に最も近い立山ICで降り、有峰林道を通って、やっとのことで折立駐車中に着いたのは、昼の12時を過ぎていました。
登山口から汗だくの急登
駐車場で身支度を整えて、12時30分にいざ出発。すでに昼時ということもあって、日差しが強くかなり暑さを感じながらのスタートです。歩きながら日焼け止めを塗りつつ…。
蒸し暑い樹林帯の中を、徐々に高度を上げていきます。急勾配とまではいきませんが、そこそこの登り坂をジクザクしながら歩みを進めます。暑さのせいか、20分程度歩いただけでかなり汗をかいています。ふと気が付くと、ポケットに入れたはずの日焼け止めクリームがありません。後ろを歩いていたS君が歩き始めの地点でそれらしき物が落ちていた、とのこと。まさか私の物とは思わなかったので、そのまま進んできたのです。
仕方なく、S君にザックを見てもらい、拾いに戻りました。確かに、スタート間もない地点に落ちていたのを見つけ、拾って戻りましたが、無駄な時間と体力を消耗してしまいました。
しばらく登り続けると、傾斜も緩み視界が開けると三角点に着きます。ベンチもあるので、一休みするにはちょうど良いでしょう。
草原上の稜線を緩やかに登り進める
三角点を出発して少し登ると辺りは気持ちの良い草原となり、さらに緩やかに石畳の道を登り続けると、休憩に適した五光岩に到着です。この間にも、ところどころにベンチが設置されているので、適宜小休止をとっても良いでしょう。
それにしても、目の前に広がる薬師岳のどっしりとした山容が美しい。
このあたりは緩やかな登りが続きますが、距離が長いうえに、夏の暑い日差しを受けながらの歩きなので、結構応えます。
いよいよ視界の先に太郎平小屋が見えてきました。
さらに草原の中の木道を歩き続けると、折立から約3時間半で今夜の宿泊地である太郎平小屋に着きました。
太郎平小屋に宿泊
太郎平小屋は、黒部源流域周回の起点ともなる場所にあるため、多くの登山者でにぎわっています。
小屋の前に立つと、黒部源流部の山々が一望でき、明日からの周回旅に胸が膨らみます。
小屋での寝場所は2階の大広間ですが、宿泊客も多いため隙間なくビッチリと詰まっています。コロナ禍前でもあり、これでもましなほうだと思い寝床に就きました。
朝起きると、昨日の登山中にどうやらアブに耳たぶを刺さされたらしく、少し腫れて痛痒い状態です。これからなのに困ったなあと思っていると、太郎平小屋には看護師さんがいらして、抗生剤(リンデロン軟膏)をもらうことができたので、とてもラッキーでしたし、感謝の一言です。
翌日の2日目は、太郎平小屋を出発して、周回路を時計と反対周りに進み、黒部五郎岳を経て黒部五郎小舎までとなります。
>>【黒部源流域の山旅(Vol.2)】へ続く