最終日となる3日目は、早朝に槍ヶ岳への登頂を果たし、晴天下での大パノラマ絶景を存分に満喫した後、下山口である上高地まで一気に下る行程です。記事の最後に、表銀座縦走のポイントと注意点をまとめてみましたのでご覧ください。
登山コースの紹介(前回からの続き)
東鎌尾根の踏破
今日も朝から最高の天気です。朝食もそこそこに5時20分にヒュッテ大槍を出発。
東鎌尾根も最終段階です。しかし、東鎌尾根の核心部は昨日までで終わっているので、比較的気楽に東鎌尾根終盤の岩場を登っていきます。
だんだんと槍ヶ岳の穂先が迫ってきます。前回、槍沢ルート経由で槍ヶ岳山荘前から見た槍ヶ岳とはひと味違い、より岩峰らしさを増した面持ちです。
最後はトラバース気味に登りきると、出発から1時間弱で槍ヶ岳山荘の立つ槍の肩に着きました。
絶景の槍ヶ岳山頂へ
山荘前に荷物をデポして軽装で頂上に向かいます。すでに山頂へは登頂経験済みなので、緊張感もなく楽しんで岩場を登り進めます。
多少の渋滞はあったものの、早朝だけあってさほどの込み具合ではありません。
待ちの間に後ろに付かれていたご夫婦と話をすると、槍ヶ岳へは今回が初めてで、昨日は飛騨沢ルートで一気に槍ヶ岳山荘まで登ってきてのでかなりハードだったとのこと。
大まかなコース説明や、ハシゴでの注意点(岩の出っ張りがあり、つま先でしか踏めない段がある)などをアドバイスしながら、いよいよ山頂に迫ります。
そして、最後のハシゴを登りきると、“最高すぎる” 景色が待っていました。
前回の登頂時は、穂高方面は雲がかかっていたものの、全体としては視界もよく、初めてということもあり、感動的なひと時だったことを記憶しています。
今回は2回目となり、再び登頂したことへの満足感もありますが、それ以上に、あまりの天気のよさと、360°の大パノラマを見ることができたことに、より深い感動を味わいました。
同行のS君との記念撮影をしてもらったのち、真っ青に澄み切った夏空に広がる絶景を存分に楽しみます。
北側には裏銀座から黒部源流域の山々の連なりがくっきりと見えます。
西側には笠ヶ岳、南側には、前回はっきりと見られなかった穂高連峰の雄姿が見て取れます。
さらにその先には乗鞍岳や御嶽山までも手に取るようにわかります。
山頂での景色を心行くまで堪能してから、槍の肩まで下りてきました。
上高地まで一気に下山
7時40分に槍ヶ岳山荘前を出発。ここからは一路上高地に向けて一気に下山します。
下山開始後も、名残惜しさからか、何度も振り返って槍ヶ岳を眺めます。
空はより青く、槍の穂先がブルーの空に映えます。いつまでも見ていたい景色ですね。
グリーンバンドあたりまで来ると、あたりはお花畑となり、高山植物が咲き誇っています。
この7月中旬頃が見頃なのかもしれませんね。
あとはひたすら下山路を歩き進め、途中の槍沢ロッジで昼食タイム。横尾まで下りてくれば、あとは徳沢・明神と歩き続け、16時に観光客であふれる河童橋に着きました
非常事態発生!
河童橋を通り過ぎ、バスセンターに向かおうとしたところ、何やら長蛇の列が…。
もしやと思いながら、バスセンターまでたどり着いてみると、あたりは人であふれかえっています。
それにしても、バスに乗るための列が河童橋まで続いているとは異常な光景です。
とにかくバスの切符を買おうとしますが、人の波でなかなか切符売り場にたどり着けません。
やっと切符売り場の列にならび、なんとか新島々行きの最終バスの切符を買うことができました。
しかし、最終バスに乗って新島々経由で松本にたどり着いても、新宿行きの最終あずさ号には間に合わず、やむなく松本で泊まることになりました。
ところが、この日は3連休の初日とあって、ホテルはどこも空きがありません!!
いろいろホテルをあたるものの、どこも一杯でどうしたものかと思いあぐねていましたが、松本の勤務経験もあるS君が、たまたま2部屋キャンセルのあったビジネスホテルを確保してくれたので一安心(設備はボロいホテルですよ、とのことでしたが、泊まれるだけで十分、十分)。
それにしても、予想外の事態に振り回された旅のエンディングでした。
まとめ
下山後に非常事態が発生したものの、表銀座縦走路自体は、人気があることもあって、私自身もとても印象深い山旅となりました。期間中、最高の天気も相俟って、これまでの山旅の中でもベスト3に入るほど、印象に残っています。
表銀座は、北アルプスの魅力を存分に楽しめることができ、縦走路中に山小屋も点在しているため、体力に応じて自由な山行設定をすることも可能です。
このような魅力満載の表銀座縦走に、この夏、是非とも足を運んでみてはいかがでしょうか。
最後に、表銀座縦走のポイントと注意点をまとめてみました。
- 表銀座縦走路は、北アルプスを代表する屈指の人気コースです。
- 燕岳方面から出発して、目指す槍ヶ岳がだんだんと近づいてくる様子が魅力です。
- 東鎌尾根は岩場が連続して体力を使いますが、難易度は高くはないので安心です。
- ただし、ヘルメットの装着は必須で、慎重な足運びが必要なのは言うまでもありません。
- ゴールの槍ヶ岳山頂への登頂で達成感を味わうことができ、天気が良ければ、山頂からの絶景に感動を覚えることでしょう。
- 今回の山旅は、バスでの前泊ののち、大天荘、ヒュッテ大槍に泊まる2泊3日の行程でしたが、1泊目は燕山荘までとして、2泊目をヒュッテ西岳、3泊目を槍ヶ岳山荘の3泊4日とするのがより一般的で、余裕を持った山旅を楽しむことができます。
登山ルートと所要時間
【1日目】中房温泉…合戦小屋…燕山荘…天狗の大下り…切通岩…大天荘(約7時間)
【2日目】大天荘…大天井岳…大天荘…ビックリ平…ヒュッテ西岳…(東鎌尾根)…ヒュッテ大槍(約6時間30分)
【3日目】ヒュッテ大槍…槍ヶ岳山荘…槍ヶ岳山頂…槍ヶ岳山荘…(下山路)…上高地バスセンター(約9時間)
※上記時間には休憩時間は含まれていません。
【表尾根縦走(完)】