【キハ40を追う~北海道編(Vol.4)】1駅間の距離が日本一長い区間で北見峠越えに臨む

鉄道

今回の記事では、上川駅を出発してキハ40にとっては難所といえる北見峠を越えて遠軽へ、そしてオホーツク海に面する終着網走までの様子をお伝えします。

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「山紫水明」紫水号に遭遇

上川駅からは11時10分発の4623Dに乗ります。ホームに入ってきたのは、キハ40 1791+1724の2両編成です。今日これまで乗車した列車はすべて2両編成なのでうれしいですね。

4623Dの2連

そして、編成の前より車両の1791号車は、「山紫水明」シリーズのうちの1両である紫水号です。本来イベント用の車両ですが、通常列車にも運用されていて、今回出会えたのは幸いです。

「紫水」号のキハ40 1791
4623Dの運用区間は「上川-遠軽」間

めずらしいので、写真を撮ったり中の様子を観察したりしてましたが、乗車したのは後ろよりの1724号車です。やはり改造していない車両のほうがローカル線旅感がありますからね。

「紫水」号の車内

上りの大雪2号とは同時発車なのですが、到着の遅れにより、同列車との待ち合わせ後に発車となりました。

上り「大雪2号」を待って発車
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難所の北見峠越え

上川を出発してから次の白滝駅までが、「キハ40最長乗り継ぎ旅」の中でも一番のハイライト区間です。なにせ、1駅間の距離が37.3kmもあり、在来線では一番距離の長い区間なのです。これだけ1駅間が長いわけは、山間部には人がいないということのほかに、以前はこの区間に5つも駅があり、現在はすべて廃駅(うち3駅は信号場として存続)となってしまったからです。

所要時間は50分もかかるのですが、その距離に加えて北見峠という難所を乗り越えていく必要があります。重い車量を抱えるキハ40にとっては厳しい区間となります。

列車は留辺志部川沿いの森林を進んでいたところ、突然警笛を鳴らして緊急停車。車両前方まで行ってみると、線路内に2頭の鹿が歩いています。1頭は大きな角を持った雄鹿です。何度か警笛を鳴らすと、やっと線路から離れ林の中に逃げていきました。北海道あるあるです。

線路から逃げ去る2頭のエゾシカ

だんだんと勾配が増してくると、いよいよ北見峠越えです。登り勾配の連続のため、キハ40の2両は低速ながらエンジン音をうならせて力行運転を続けます。

徐々に勾配が増す

上越信号場まで到達すると峠を登り切ったようで一安心。ここは標高634mにある北海道で最も高い信号場となっています。

標高634mにある上越信号場

登り区間も終わり、北見トンネルを抜け奥白滝信号場を越えると、上川から50分かけて隣駅の白滝に到着しました。それにしても、時間・距離ともに長い区間でしたね。

やっと白滝駅に到着

落ち着きを取り戻した列車は、下り勾配を軽快に走り抜け丸瀬布に。駅には「SLと昆虫のまち丸瀬布」と書かれた看板があったので、SLについて調べてみると、その昔、武利意森林鉄道の雨宮21号という蒸気機関車が走っていたようですね。

「SLと昆虫のまち丸瀬布」

列車は難所の北見峠を越えて平地に至り、左手前方に瞰望岩が見えてくると終着の遠軽です。

遠軽から終着の網走へ

遠軽駅はかつては名寄本線や湧別線との分岐となる鉄道の要衝でしたが、両線とも廃止されて、広い駅構内には転車台の残骸などが残っているようですが、営業施設としてはスイッチバック式の駅が残るのみとなりました。北海道の鉄道事情が窺い知れる光景です。

遠軽駅でスイッチバック

遠軽から網走までは同じ車両編成で向きを変えて向かうことになりますが、いったん全員が降車し乗り換えとなります。

同じ編成とはいえ、列車番号を4663Dと変えて、本日4本目の、そして網走まで最後の1本となるキハ40列車です。ここからまだ3時間かかりますけど…

生田原から先は、もう一つの難所である常紋峠越えがあります。先ほどの北見峠ほどではないですが、キハ40は最後の難所を踏ん張り越えていきます。心霊スポットして有名な常紋トンネルを通過すれば、瑠辺蘂の町へ。さらに、しばらく走ると北海道東部を代表する都市・北見です。

北見駅で長停車

ここ北見駅では30分の停車とあって、改札を出てみます。

北見駅前のロータリー

北見市はオリンピックでも活躍した「ロコ・ソラーレ」のある街で、駅前には「カーリングのまち北見市」と記された看板が立っています。

「カーリングのまち北見市」

駅前の道端には膝下あたりまでの雪が積もっていましたが、この雪がさらさらのパウダースノーです。足を踏み入れると、ふわふわな雪がとっても気持ちいい。

北身を出発して、美幌・女満別を過ぎ、左手に凍結した網走湖が見えてくると終点は近いです。

凍結した網走湖沿いを走る
夕日とともに終着駅を目指す

速度を緩めた列車は、終着である網走駅のホームに静かに滑り込みました。

終着の網走駅に到着

朝6時に札幌を出発してから10時間にわたる長旅を終えました。まだまだ乗り続けたいと思うほど、まったく退屈しない乗り継ぎ旅でした。

最後に乗った4663Dには名残惜しさを感じますが、列車は乗客を乗せて留辺蘂行の4670Dとして折り返していきました。

その列車を見えなくなるまで見送ってから改札を出ます。あたりが薄暗くなった網走駅の駅舎を見ていると、ついに札幌から10時間かけて網走までたどり着いたという実感が沸いてきました。

夕暮れ時の網走駅前

「ドーミーイン網走」に宿泊

今日の宿は「ドーミーイン網走」。駅から15分ほど歩いてホテルに着きました。

ドーミーイン網走にチェックイン

チェックインして荷物を置いて、しばらく休憩した後、帽子・手袋・携帯カイロなどの防寒対策をして夕飯を食べに出かけます。外に出ると小雪がちらついていて、気温もかなり低く感じます。

ホテルのチラシに「旬の牡蠣 1個100円!」とあったこともあって、向かったのは吉田三八商店

居酒屋の「吉田三八商店」

こじんまりした店内に入ると先客はカウンターの1名のみ。こちらも1人なので、カウンターへ案内されます。寡黙な女店長にビールとつまみ2・3品を注文して、しばらくは静かに飲んでいました。

途中でバイトの若い女店員が来たものの、ひまそうにしていたので「最近、お客は少ないの?」と話を向けると、いろいろ話に乗ってくれました。

聞けば、彼女は京都の出身で東京農業大学の学生とのこと。東京農大にオホーツクキャンパスがあるのは初めて知りましたが、農業や水産、食品や化粧品の研究がなされているようです。彼女はエミュの研究をしているらしく、近々熊本のエミュ関連の会社に研修に行くのだとか。バイトで貯めたお金で友達と北海道をドライブするのが楽しみらしく、ちなみに今までで一番良かったところを聞いたら、積丹半島の「積丹ブルー」とのことでした。

ホテルに戻ると、早速にドーミーイン名物の天然温泉に。最上階にある浴場にゆったりとつかり、さらに室外にある露天風呂へ。凍えそうな寒さをこらえ、いざ露天風呂へ。狭い場所ですが、他の客もいないので、夜空を見ながらのんびりと湯につかります。

風呂から上ると無料のアイスキャンディー、うれしいサービスです。部屋に戻り、時間になるとこれまたドーミーイン名物の「夜鳴きそば」の会場に足を運びます。風呂で体も温まり、ラーメンもいただいて、明日も続く鉄道旅を楽しみに寝床に就きました。


今回の記事はここまでです。次回は、3日目に予定している釧網本線北浜駅までの往復乗車などの鉄道旅です。

>>【キハ40を追う~北海道編(Vol.5)】へ続く

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