燕岳は北アルプスの入門コースの一つとさてされていて、危険個所がなく登山道も整備されているので、「北アルプスはまだちょっと…」という方にも、山小屋泊をすることにより、とても楽しい登山が味わえます。ビギナーにも絶対におすすめですので、山仲間を誘って出かけてみてはいかがですか。
【my山行日:2017年7月21日~22日(1泊2日)】会社の同僚と4人で
燕岳について
燕岳は北アルプスの中部に位置する標高2,763mの山です。花崗岩に覆われた白い岩肌から、「北アルプスの女王」と呼ばれ、その美しい山容は多くの登山者の人気の的となっています。
また、山頂近くの稜線に立つ「燕山荘」は、美しい山頂の姿が間近に見られることに加えて、館内にカフェテリアが併設され、提供されるケーキセットが女性に人気なこともあり、泊まりたい山小屋の人気度では常に上位にランクインしています。
さらに、北アルプス屈指の人気縦走コースである「表銀座」の起点ともなっていて、初級者から上級者まで幅広く山登りを楽しむことができます。
登山コースの紹介
今回は燕岳への登山口である中房温泉を出発して、北アルプス三大急登といわれる「合戦尾根」を登って合戦小屋に至り、山頂を極めてからその日は燕山荘に宿泊。翌日は同じコースを引き返して中房温泉に戻る最もポピュラーなコースをご案内します。
まずは登山口の中房温泉へ
今回の山行は、私が車を出して1台の車で行くことにしました。未明の3時半に自宅を出発。
他の3名も横浜在住なので、それぞれのメンバーを拾った後、高速に乗って目的地に向かいます。
いつものよう(お決まり?)に、藤野PAと八ヶ岳PAに寄りながら長野道の安曇野ICへ。
さらに一般道を走り、JR大糸線の有明駅近くを横切っていよいよ山道へ。
走っている車も少なく、駐車場も余裕があるのかなと思いつつ走らせていると、やがて中房温泉手前の登山者用駐車場に到着。ところが、です。第1および第2駐車場は一台の隙もなく満車。ここまで来て停められない場合は、麓まで戻ってからバスかタクシーで来なければならず、大幅な時間ロストなります。最後の望みをかけて、さらに少し下った有明荘の近くにある第3駐車場に向かうことに。
しかし、ここもほぼ満車状態。ですが、何とか1台分のスペースに停めることができて、とりあえずほっと一安心。平日といえども、やはり金曜日は厳しいものですね。大幅な時間ロスを防ぐことができて、駐車場から歩いて登山口に到着したのは8時半頃でした。
合戦尾根を登る
準備運動を済ませたら、燕岳登山口から登山開始。
稜線までの標高差も1,000m以上ありますので、頑張っていきましょう。
今日は朝から雲が多く、晴れは期待できないかもしれない天候ですが、山頂で晴れることを期待して意気揚々と歩き始めます。
これから登る合戦尾根は北アルプス3大急登に数えられていますが、それほどの “急登感” はなく、ところどころにベンチの備え付けられた休憩場所が用意されているので、初心者でもゆっくり休憩を取りながら登っていけば大丈夫です。
とはいえ、最初からそこそこの急坂。まず、最初の休憩場所である「第一ベンチ」に到着します。夏場であればここまででもかなり汗ばむことでしょう。少し下ったところに水場があり、冷たい水でリフレッシュすることもできます。
さらに登ると「第二ベンチ」に到着です。暑さでかなり汗をかくと思いますが、休憩時の水分補給を忘れずにとることが重要です。
さらに登り進めると「第三ベンチ」に。一定間隔ごとに休憩場所があると気持ちが楽ですね。
第三ベンチの先にある休憩場所は「富士見ベンチ」ですが、この間の傾斜が一番きついので頑張りどころです。富士見ベンチからは文字通り富士山や南アルプスを垣間見ることができる場所となっていますが、当日は雲が多く見られず。
富士見ベンチを出て30分ほど登ると、「合戦小屋」に到着します。登山口からここまでで標高差900m登ってきたことになります。
合戦小屋で名物のスイカを食べながら休憩
合戦小屋に着いたら、やっぱり名物のスイカをいただきましょう。
合戦尾根までは荷揚げ用のケーブルが敷設されていて、スイカはこのケーブルで運ばれてくるんでしょうね。そう言っている間にもケーブルで荷物が到着したようです。
さて、お目当てのスイカを買って、ベンチでかぶりつきながらしばらく休憩します。
特に初心者の方には、高地順応のためにも、この合戦小屋で十分休憩してから山頂を目指すことをおすすめします。
それにしても山の上で食べるスイカは格別ですね。
ここのスイカは地元松本市波田町下原産とのことですが、確かに松本から上高地に向かう国道158号線沿い(松本電鉄波田駅近辺)にはスイカを売るお店が何軒もあるのを思い出しました。
なお、合戦小屋でのスイカの提供は、夏場の6月下旬から9月中旬までのようです。
合戦尾根を登り切る
合戦小屋での休憩を終えたら、山頂に向けて出発です。まず10分ぐらい登って着く「合戦沢ノ頭」というピークからは槍ヶ岳の姿を望むことができます。いよいよ北アルプスに来たなぁと実感。
この頃になると、足も大分疲れてきて、燕山荘も見えてきてはいるのですが、なかなか着きません。
ここを頑張って登り続け最後の階段を登りきると、ついに燕山荘の立つ稜線にたどり着きます。
今日は登るにつれだんだんとガスが濃くなり、眺望は期待していなかったのですが、稜線上に立つと、西側には後立山連峰の大パノラマが広がっている景色が見られて、テンションが一気に上がりました。
裏銀座コースが槍ヶ岳までつながっている雄大な景色を目の当たりにして、同行の3人も感動していたようでした。
燕岳山頂に向かう
しばらく稜線からの景色を堪能したら、今回宿泊する燕山荘にチェックインして、軽装備にしてから燕岳山頂に向かいます。
山荘から見る燕岳は、白い花崗岩とハイマツのコントラストが美しく、まさに「北アルプスの女王」の名にふさわしい何とも麗しい容貌です。
山頂に向けた白砂の登山道を歩いていると、あたりにコマクサが群生していて、これほど一帯に群生しているのは、他ではなかなか見られない光景です。コマクサも可憐な花を咲かせることにより「高山植物の女王」と呼ばれていますが、「燕岳とコマクサ」、これぞ女王の競演ですね。
登山道の周囲は、風化して尖った花崗岩が林立して独特の景観を生み出しています。
「イルカ岩」や「メガネ岩」とネーミングされた奇岩の間を抜けていくと燕岳の山頂に到着です。
当日は快晴とはいきませんでしたが、ここ山頂からも遠く槍ヶ岳の雄姿を見ることができました。
静かな山頂で、しばらくの間ゆったりとした時間を過ごして燕山荘に戻ります。
燕山荘に戻ると、夕食までしばらく時間があったので、みんなでビールで乾杯。
山荘前のテラスで飲んだ生ビール(枝豆付きで1,000円)は、記憶にある中でも、山で飲んだビールとしては一二を争うくらい凄く「うまい!」と思える一杯でした(あくまで個人の感想です)。
山荘裏に人が集まっているので行ってみると、「ブロッケン現象」が見られるとのこと。見ると東側斜面はガスがかかっていて、下をのぞくと虹色の輪の中に、自分の影が大きく映っていました。これもなかなか遭遇できない貴重な体験でした。
>>【燕岳~後編】に続く