百蔵山は都心からも比較的近く、シーズン初めの本格的な登山の足慣らしとして絶好な山の一つと言えるでしょう。しかも、頂上から見る富士山は秀逸で、天気の良い日は素晴らしい富士の姿を見ることができるでしょう。さらに観光名所の「猿橋」も近いので、下山後の観光も楽しめますよ。
百蔵山について
百蔵山(ももくらさん)は、山梨県大月市にある標高1,003メートルの山です。登山口は中央本線の猿橋駅からもほど近く、アクセスもよいので、気軽に日帰り登山を楽しむことができます。
百蔵山は山梨百名山の一つであり、美しい富士山を眺められることにより、大月市の「秀麗富嶽十二景」にも指定されています。
猿橋駅のホームからも百蔵山の全容を見ることができ、さらに東側に立つ扇山へ至る縦走コースも人気がありますが、今回は百蔵山のみを巡る周回ルートを紹介します。
猿橋駅から福泉寺へ
中央本線の猿橋駅からスタート地点の福泉寺までは歩いても行けますが、今回はバスで向かいます。駅前のバス停で待っていると、警察官の方が「登山ですか?」と訊かれるので、そうですと答えると、安全な登山をお願いしますと言われ、緊急用の簡易ブランケットを渡されました。「使わないことを願いますが…」と。
福泉寺前バス停までは15分程度で到着、バス停前で軽いストレッチと身支度を済ませて、いよいよ登山開始です。登山口に向けて福泉寺を通り過ぎて、緩やかに坂を上がっていきます。
登山口から稜線を目指す
20分ほど歩くと、登山口に辿り着き、ここからが山道となります。ただ、いきなり急坂になるわけではなく、林の中の道をしばらくは緩く登っていく感じです。
やがて山道の勾配も徐々に上がっていきますので、息を整えながらゆっくり進みましょう。
登山口から1時間ほど歩くと、赤色をした小さな祠が見えてきますが、これが金比羅宮です。
あたりは休憩に程よいスペースとなっていて、鳴らすことのできる釣鐘もありますので、しばし見学しながら小休止とします。
さて、ここからは斜度が増し、急登が続きますので心していきましょう。ジグザクの道の幅もだんだんと狭くなり、ふくらはぎが張ってきますが、ふと振り返ると木々の間から富士山の姿が。
富士山に元気をもらいながら、最後は直登となる坂を登りきると尾根道に出ます。稜線に出ても、まだ富士山の全景はお預けのようですね。
大同山から百蔵山山頂へ
尾根道まで出たら、今日一番の登りはこれでおしまい。標高800mまで登ってきたので、ここから百蔵山山頂までは比較的緩やかな道を徐々に高度を上げていくことになります。
しばらくはフラットで気持ちの良い稜線歩きが楽しめます。木々の葉は芽吹きだしていて、新緑の頃のすがすがしい雰囲気は本当に心が和みますね。
そうこうしていると一つ目のピークである大同山に到着。標高907mなので残り100mです。
しかし見晴らしはなく、ここでも富士山はお預け状態です。それでは一休みして百蔵山山頂を目指しましょう。大同山から少し下ると、あとは百蔵山山頂まで、長いけれど緩やかな坂が続きます。
息が上がることもなく、20分ほどで百蔵山の山頂に着きました。
百蔵山山頂でランチライム
山頂エリアは広く、南側の視界が開けていて、やっと富士山の優美な全容を拝むことができました。今日は天気も良く、富士山がとてもきれいです。今回もまた「晴れ男」健在です!
登山道ではほんんど人に会わなかったのですが、山頂にはそこそこ人がいました。どうやら反対側の登山道から来る人が多いようで、福泉寺から登る人は少ないみたいですね、
山頂には、「秀麗富嶽十二景 七番山頂」と書かれたの標識(標高は1003m)や案内板、そして百蔵大明神遺跡の石碑もたっています。
富士山を目の前に、丸太に腰を下ろして昼食タイム。すると、これも反対側の登山道から、高校生と思しき10名ほどの男子グループが山頂に到着、あたりは一気に賑やかに。
ゆっくりと山頂での滞在を楽しんだら、そろそろ下山とします。
急斜面の下山路
下山は行きに登ってきた道とは反対側のコースから下山します。
扇山方面に向かう「コタラ山分岐」を過ぎると、ここからしばらくは急な下り坂が続きますので、足元を滑らせないよう慌てず慎重に下りて行きましょう。
急な斜面沿いには鎖やロープが張られていますが、途中ない箇所もありますので、より慎重に足を運びます。この道を登っていくのも結構大変だなぁと思いつつ、足元を確認しながら下り続けると、やがて緩やかな下り道となりました。あとは危険個所もないため、ゆっくりと登山口まで下り進めます。
山頂から1時間ほどで、百蔵浄水場のある登山口に到着し、ここで登山道は終わりです。
こここからは舗装された道をずっと下りていくことになりますが、浄水場付近から見る富士山もすばらしい眺めです。後ろを振り返ると、今下りてきた百蔵山が目の前に映ります。
登山口から20分ほど歩くと、百蔵山登山口バス停がありますので、丁度よいバス便があれば猿橋駅まで乗っても良いでしょう(ただし、日中はほとんど本数がありません)。
「甲斐の猿橋」に立ち寄る
せっかく猿橋町まで来たのなら、観光名所の「猿橋」に寄ってみてはいかがですか。この猿橋は、錦帯橋、愛本橋とならぶ「日本三奇橋」だそうですが、「刎木(はねぎ)」と呼ばれる支え木によって橋を支えているとのこと。百蔵山登山口バス停から45分ほどの歩きで猿橋に到着しました。
橋は深い谷間に架かっていて、下から 見上げると、確かに支え木が組み合わさっている様子がよくわかります。なるほど「奇」な橋ですね。
猿橋見学を終えたら、再び歩いて猿橋駅に向かいます。猿橋から20分くらいの歩きで、猿橋駅に到着して、今日1日の行程は終了となりました。駅舎を見ると、もうお分かりだと思いますが、猿橋を模した造りになっていることがわかりますね。
これにて百蔵山への日帰り周回登山のご案内は終わりです。春から初夏にかけての新緑シーズンがベストだと思いますので、ぜひ登ってみて下さい。
登山ルートと所要時間
アクセス:中央本線高尾駅から普通列車で猿橋駅まで約40分
所要時間:福泉寺前バス停…登山口…金比羅宮…大同山…百蔵山山頂(約2時間20分)
百蔵山山頂…登山口…百蔵浄水場…百蔵山登山口バス停…猿橋駅(約2時間)
※上記時間には休憩時間は含まれていません。
※「猿橋」に寄る場合は、上記時間に30分程度多く見積もってください。