冒頭の写真は、地蔵ノ頭から振り返ってみた縦走路です。
遠くは天狗岳から硫黄岳、そして横岳を経て下ってきた険しい岩場を見ることができます。
さて、横岳の稜線を歩き終わり、これからいよいよ最終目的地であり、八ヶ岳最高峰の赤岳に向けて出発しようとした矢先に、思いがけないトラブルが発生してしまいました。
ツアー客のトラブル
実は、ツアー客の一人である若い男性が、膝にトラブルが生じて赤岳に登ることが困難になったことから、ガイドの判断で全員が地蔵ノ頭から下山することになったのです。
その男性は、もともと膝に痛みを抱えていたらしく、確かにサポーターもしていましたが、ツアーに参加したことの是非が問われる状況とも言えます。
他の参加者からも「一人で行くのなら自己責任だが、ツアーでの団体行動となると、膝の状態を事前に十分確かめてから参加すべきだったのでは」との声もありましたが、やむを得ない状況なので、最終的には全員が了承し下山することになった次第です。
今回参加した石井スポーツの「登山学校」は、旅行会社が主催する登山ツアーとは性格を異にしていて、その形態は「旅行契約」ではないと思われます。参加費用も「生徒」を引率する指導料的な意味合いなので、このような事態に直面した場合でも、参加した「生徒」に対して「債務不履行」が生じることはないのだろうと推察しました。約款を読んでいるわけではないので、勝手な解釈ですが。
それはさておき、まだ時間的にも体力的にも余裕があったため、赤岳を目の前にして下山しなくてはならないショックは相当なものでした。
どうしても赤岳登頂を果たしたく、このツアーから約2か月後に単独で赤岳に向かうのでした…。
縦走コースの紹介(その3)
地蔵ノ頭から下山
後ろ髪をひかれる思いで、地蔵ノ頭から地蔵尾根を伝って下山を開始します。
この地蔵尾根はかなりの急坂で、上部は岩場となっているため、慎重に下ります。
途中から振り帰ると、横岳周辺の岩場の稜線や、一方で今回登れなかった赤岳が見送るように語りかけてくるようでした。
鎖や足場の杭のある岩場を過ぎるとしばらくは階段の連続となります。
眼下にはこれから向かう行者小屋が見て取れます。
ひたすら下ること、およそ1時間で行者小屋に到着。
行者小屋では各々昼食タイムに。私はカレーライスをいだきました。
赤岳鉱泉を経て美濃戸口へ
美濃戸へ向かう道として、南沢コースと北沢コースがありますが、ガイドによると北沢コースの方が歩きやすいので、そちらを通って下山を進めます。
下山途中にある赤岳鉱泉でしばし休憩タイム。
赤岳鉱泉を出発すると、途中から林道になり、のんびりと緩やかな道を下っていきます。
最後の休憩場所となる美濃戸にある美濃戸山荘で、“お約束の” ソフトクリームを食べてリフレッシュ。
ゴールの美濃戸口まではあと1時間弱です。
美濃戸口に到着して、ここで「登山」は終了。予約してあるタクシーに分乗して茅野駅に。
茅野駅に到着すると、小屋の宿泊代とタクシー代を精算してすべての行程が終了となりました。
赤岳に登れなかったのは残念だったものの、それは次回の楽しみに取っておくとして、南八ヶ岳の岩場の稜線を縦走したことには大きな満足感を得て、帰路の電車に乗り込みます。
登山ルートと所要時間
アクセス:桜平登山口駐車場まで、中央道・諏訪ICから22km、約1時間30分
美濃戸口から茅野駅までバスで40分
所要時間:【1日目】桜平・・・夏沢鉱泉・・・オーレン小屋・・・夏沢峠・・・硫黄岳・・・硫黄岳山荘(約3時間10分)
【2日目】硫黄岳山荘・・・横岳・・・地蔵ノ頭・・・行者小屋・・・赤岳鉱泉・・・
美濃戸・・・美濃戸口(約6時間)
※上記時間には休憩時間は含まれていません。
※登山ルートの地図は、山と渓谷社の承諾を得て使用しています。
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